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(あれ、いつの間にこんな時間に・・・?)

ふと気が付いた時、既に4限目が始まろうとしていた。

何だか今日は時間の流れが妙に速い気がする。
これもずっと眠ってばかりだったからだろうか・・・?
いや、さっきまでのは寝てたと言うよりむしろ記憶が無いに近い。

考えてみれば、記憶がやけに曖昧になっている。
恵一達と一緒にいた時はまだ元気だった気がしたが・・・

昨日はそれ程夜更かしした訳でもないのに何故此処までぼんやりしているのだろうか・・・?
判らない、何も思い出せない・・・

それにしても、さっきから私を呼ぶ声が聞こえるのは気のせいだろうか・・・


「・・・黒澤っ!!」


顔を上げると、目の前に先生が立っていた。
「何回呼んだら起きるんだお前は!」

でも確かさっき時計を見たらまだ休み時間は終わっていなかったはず・・・
「え・・・もう授業始まってるんですか・・・?」
「当たり前だろ!さっきから佐々木だって何回も起こしてたんだからな!」

そう言われて隣を見ると、そこには名指しされても何ともない様子の恵一がいた。
しかし、彼は一度私の方に顔を向けると
「あれ、お前ちょっと顔色悪くないか?」
と小声で尋ねてきた。

(・・・!)
その時、私は一瞬だけ胸が強く鼓動するのを感じた。
そして何だか急に恥ずかしくなり、私は恵一から目を反らしてしまった。

「ん、そうか?む~・・・確かにちょっと血色が良くないな」
そんな私をよそに、その声は先生に聞こえていたらしく、私の顔を見るなりそう言った。
「このクラスの保健委員は遠藤だったよな。念の為に保健室に連れて行きなさい」
「あ・・・はい」
そう言って亜紀は立ち上がった。

「ごめんね、亜紀・・・」
「ううん、大丈夫」

こうして私と亜紀は保健室へと向かって行った。


やがて再び気付いた時には、ベッドの上だった。

あれから一体何をしてただろうか・・・?
よっぽどぼんやりしていたのか・・・何も思い出せない。

そんな事を考えていた矢先、突然電子音がすぐ近くで鳴った。

「あ、体温計・・・」
体温を測っていた事さえ忘れているなんて・・・

「何度だった?」

その音に気付いたのか、カーテン越しに声が聞こえてきた。
多分保健の先生の声・・・だと思う。
と言っても殆ど逢った事が無いのでよく判らないが・・・

「えっと・・・」
体温計の液晶表示を見た私は、最初自分の目を軽く疑った。

「・・・38.2度」

どうもおかしい・・・熱の割に全然寒気も無い。
ただ意識がはっきりとしていないだけなのに・・・

「少し熱があるのね。じゃあ、どうしたい?」
そう聞かれて、私は少し躊躇した後に答えた。

「早退しても良いですか?」

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